演劇や美術作品の鑑賞を通じて平和や文化に関する理解を深め、複数教科の視点を統合する学びを実現すること、また国際交流や地域文化資源を活用した体験的学習により、生徒の「関わる力」「描く力」「発信する力」を育成することを目的として、2年1組・3年1組が鑑賞を核とした教科横断型学習を実施しました。

 2年1組「平和を考える演劇鑑賞と交流会」10月24日(金)

 劇団十三夜による演劇『父と暮せば』を鑑賞した後、島根県の国際交流員(CIR)の皆さんとの意見交流を行いました。

 演劇は、舞台と客席の距離が近く、演者の息遣いや感情の揺れが直接伝わってくる迫力がありました。戦後の広島を舞台にした物語は、観る側の想像力を掻き立て、戦争の悲惨さを肌で感じ、深く考えさせられる内容でした。

 鑑賞後の意見交流では、アメリカや韓国、ブラジルなど、様々な国や文化的背景を持つ交流員の方々の意見を聞くことができました。戦争や原爆に対する感じ方、母国での教育などについて話を聞くことができ、違う国や文化の歴史の捉え方を知る、とても貴重な機会になりました。また、演者の十鳥さん・伊三野さんからも、作品に込めた思いなどを直接伺うことができ、演劇の奥深さに触れることができました。

鑑賞を核とした教科横断型学習を実施鑑賞を核とした教科横断型学習を実施

 原爆の記憶をめぐる物語を通して「見えない傷」や「平和の意味」について考えた生徒たちは、演劇という表現の力と、様々な国の異なる文化からの視点の大切さを実感しました。

 生徒からは、

 ・戦争で取り残された人がどれほど悲しいかを知りました。『力でなく言葉で』『一国でなくみんなで』という言葉が心に残りました。

 ・国際交流員の方が “体に治らない傷を負わなくて幸せだ” と言っていたのが印象的で、戦争の悲惨さを改めて感じました。

という感想があるなど、演劇と対話を通して “自分の言葉で平和を語る” 姿勢を育みました。

 3年1組「葛飾北斎展を通した文学国語・地歴公民の横断学習」10月27日(月)

 島根県立美術館で開催中の「永田コレクションの全貌公開〈二章〉北斎-『葛飾北斎期』『戴斗期』編」を鑑賞し、学芸員の方からの講義を受けました。

鑑賞を核とした教科横断型学習を実施鑑賞を核とした教科横断型学習を実施

 生徒たちは北斎の構図・色彩・出版文化に触れ、芸術・文学・社会をつなぐ視点から日本文化の深層を探りました。

 生徒からは、

 ・波や雲の動きが生きているようで、自然の力強さを感じました。日本だけでなく世界で評価される理由が分かりました。

 ・津和野出身の永田生慈さんが島根県に作品を寄贈されたことを知り、地域に根づく文化の価値を改めて感じました。

という感想があるなど、作品の細部を見つめ、歴史や地域とのつながりに思いを馳せる姿が見られました。

 


 生徒たちは、芸術作品や演劇といった「ホンモノ」に触れる体験を通して、人間の心や社会のあり方に迫り、自分の言葉で世界を読み解く教科横断的な思考を深める貴重な機会を得ました。

 今回の2つの教科横断型学習を通して、本校のグランドデザインに掲げる「関わる力」「描く力」「発信する力」が、さらに確かな形で体現されていくことを期待しています。