4月11日に、令和5年度入学式を行いました。新たに62名の生徒が入学を許可されました。

4年ぶりに来賓の皆様にもご臨席いただくと共に、全校生徒が揃って式を挙行することができました。

入学式


【校長式辞】

 季節は二十四節気の「清明」に入りました。俳句には「山笑う」という季語があります。冬の深い雪に閉ざされていた「山眠る」季節から、どこか心躍る春に変わりました。

 この佳き日、たくさんの保護者の皆様にお越しいただき、ここに令和五年度、島根県立飯南高等学校入学式を挙行できますことは、まことに喜びにたえません。

 また、飯南町長 塚原 隆昭 様、PTA会長  伊藤 慶 様 はじめ、多数のご来賓の皆様を四年ぶりにお迎えできることとなりました。高段からではございますが厚く御礼申し上げます。

 保護者の皆様、お子様のご入学おめでとうございます。お子様の制服姿をご覧になり、お喜びもひとしおのことと拝察いたします。これまでのご労苦に敬意を表すとともに、今後は本校の教育にご理解とご支援を賜りますようお願いいたします。

 ただいま入学を許可した 六十二名の新入生の皆さん、入学おめでとうございます。教職員、在校生一同、皆さんをこころより歓迎いたします。

 さて、飯南高校では、多様性を認め合う学校づくりをねらいとして今年度から時代に合った機能的な制服へと変更することになりました。開校以来初めてとなる大きな改革です。新しい制服のデザイン等については、本校生徒や町内中学生の皆さんの意見を踏まえて決定しました。皆さんはこの新しい制服で学校生活を送る第一期生となります。

 飯南高校は七十五年の歴史を持ち、現在は小規模校のメリットを活かし、教育の魅力化、地域と一体となったキャリア教育などに取り組んでいます。小規模校ながら、進路実績や活発な部活動などにキラリとした輝きを放つ、中山間地域を代表する学校として知られています。

 さて、皆さんがこの春受験した高校入試の国語の小説の中に、このような一場面がありました。弓道の道場に入門した高校一年生の楓(かえで)は、国枝という老人から弓に向かう姿勢について指導を受ける中で、最後にこのような言葉を掛けられます。

 「わからないことの答えを探し続けることも、大事なことですよ。何もかも、簡単に答えがわかったら、つまらないじゃないですか」

 これは、『凜として弓を引く』という碧野圭(あおの・けい)さんの小説の一節です。必死に問題を解いていた皆さんに、国枝老人のこの言葉を味わう余裕はなかったと思いますが、私はこの言葉の深さにとても心惹かれるものがありました。

 なぜかといいますと、ここに「探究」につながるものを感じたからです。「探す」と「研究」の「究」と書いて「探究」です。これから本校で皆さんが学んでいく多くの科目名にもこの「探究」という言葉が使われています。

 今なぜ「探究」が重視されるのでしょうか? それは、時代の変化に対応するためです。ITや人工知能の進歩によって、単なる知識は、パソコンやスマホで検索をすれば、すぐ答えが見つかります。一方で、実際の社会はグローバル化や多様化の中で、環境や国際関係などの課題が複雑に絡み合っています。

 こうした状況に対し、主人公の楓と同じように早く答えを欲しがる人も多いと思いますが、残念ながら、このように複雑な課題についての唯一解は存在しません。つまり、どれだけ検索しても明確な答えは見つからないのです。

 このように世界も時代も目まぐるしく変わる中では、しっかりと自ら課題を見つけ、考え続け、解決に向かって取り組むプロセスの部分が大切になります。つまり、国枝老人の言う「わからないことの答えを探し続けることが大事」というのは、一見古そうでありながら、未来を見据えた、とても先進的なメッセージということになります。

 これから、皆さんの三年間をかけた「探究の旅」が始まります。私たち教職員とともに、わからないことの答えを探し続ける中で、皆さんには何かをつかんでほしいと願っています。

 最後になりましたが、保護者の皆様、私ども教職員一同は、生徒一人ひとりが入学して良かったと思える学校を目指しています。そして保護者の皆様にも、お子様を入学させて良かったと言っていただけるよう、全力で正面から向き合う所存でございます。

 保護者の皆様には、学校との連絡を密にしていただき、本校の教育目標やグランドデザインにご理解を賜り、ご協力をいただきますよう、お願い申し上げます。

 新入生の皆さんのこれからの三年間が一生の宝物となることを祈念して式辞といたします。

令和五年 四月 十一日                
島根県立 飯南高等学校長 岡 秀樹


ご臨席いただいたPTA会長 伊藤様、飯南町長 塚原様からは、祝辞をいただきました。

入学式入学式

その後、新入生代表として、大野鈴太さんが、「地域と共に発展する飯南高等学校の一員として、自律・友愛・進取・創造のもと、何事にも積極的に取り組み、心豊かで自立した人間となることができるよう努力します」と宣誓してくれました。

入学式

その他に、入学式挙行にあたり、たくさんの祝詞・祝電をいただきました。体育館後方にて披露させていただきました。ありがとうございました。

入学式

新たな環境の中で、新入生が一日でも早く高校生活に慣れ、自分らしさを発揮していけるよう、教職員一同努めてまいります。

62名の新入生の皆さん、入学おめでとうございます!