3月1日に、第61期卒業生66名の卒業証書授与式を執り行いました。今年は、5年ぶりにたくさんの来賓の皆様にもご参列いただきました。

【卒業証書授与】

卒業証書授与卒業証書授与

【校長式辞】

 「さまざまの事おもひ出す桜かな」という芭蕉の句があります。私たちが桜に抱くイメージをとても分かりやすい形で表現しています。

 新しい環境の下で今年の桜を見ることになる卒業生の皆さんを盛大に送り出すために、本日多くの人々が集まってくださいました。

 この佳き日に、飯南町長 塚原隆昭様、PTA会長 伊藤慶様をはじめ、多数のご来賓の皆様のご臨席を賜り、ここに令和五年度島根県立飯南高等学校卒業証書授与式を挙行できますことは、まことに喜びにたえません。高段からではございますが厚く御礼申し上げます。

 保護者の皆様、お子様のご卒業おめでとうございます。三年間お預かりした生徒たちをお返しする日となりました。先日、PTA広報誌WISHをじっくり読んでみました。「卒業生から家族への一言メッセージ」のページには感謝の言葉が数えきれないほど踊っており、「ありがとう」という言葉の力強さを改めて感じました。

 こうして生徒を陰で支えてくださる保護者の皆様の思いを実感しながら、その思いに応えるべく教職員一同全力で指導してきました。三年分の学力・成長・たくましさを身に着けた形でお返しできるのではないかと思っています。

 三年生の皆さん、卒業おめでとうございます。皆さんが一年生の六月に飯南高校の「グランドデザイン」が制定されました。改めて確認するまでもありませんが、これは、飯南高校の教育活動を通じて皆さんにどんな人間に成長してほしいのか、ということを視覚的に示したものです。皆さんはこのグランドデザインのもとで三年間を過ごして卒業する最初の学年となります。日々意識するということはなかったかもしれませんが、私たち教職員はさまざまな教育活動の中にその実現のための仕掛けを入れてきたつもりです。今日はこの貴重な時間を借りて、PDCAサイクルの「C」の部分、つまり振り返りを頭の中でして欲しいと思っています。

 さて、本校のグランドデザインにはキーワードがあります。飯南高校卒業のゴールテープに書いてある、もっとも身に付けてほしい力です。漢字三文字の言葉なのですが、分かるでしょうか? 最近、教育の世界でも重要視されているあの言葉です。

 そう、「主体性」です。そもそも主体性って何なんでしょう? これを説明するには部活動を考えてもらうのが一番わかりやすいと思います。例えば、放課後に部活動の練習着の姿でしてくれる挨拶はビックリするほど元気です。気持ちにスイッチが入っているので、部活動そのものではない挨拶の部分にまでエネルギーがあふれ出ているのです。通常の休み時間に制服姿でしてくれる挨拶と比べると、その違いは明らかです。

 これが、主体性が発動されたわかりやすい状態です。主体性とは、要するに「自分ごと」にしているか、ということです。このスイッチが入ると、自分から進んでアクションを起こし、気持ちが乗ってきて楽しくなるので、見える景色まで変わってきます。

 先ほど「主体性」を身に付けることが飯南高校のゴールであると言いましたが、これは、卒業後は主体性から解放されるということではありません。社会に出ると、今度はその主体性を使って自らが動き出すことが求められる、第二のステージが始まります。

 これから皆さんが出ていく社会はとても複雑です。部活動は楽しいけど勉強は面倒、といった単純な二分法でやっていけるような世界ではありません。多くのことが、「課題」の形で目の前に現れてきます。最初は「やらされ感」からスタートすることになるかもしれませんが、できるだけ早く自分ごとと捉え、前向きに主体性を発揮できるところまで持っていくことができるかが勝負です。

 最後に、改めて卒業生の皆さんにお尋ねします。

 自らの人生を主体的に切り拓いていく力が身に付いたでしょうか?

 これに対する返事が力強い「ハイ!」であるならば、私たち飯南高校教職員の仕事は無事完了です。皆さんとのお別れはとても寂しいですが、皆さんが自ら選んだ次のステージの入り口がすぐそこに開けています。

 その新しいステージでさらに主体性を発揮してくれること、さまざまなことを慮りながら行動してくれることを祈念して式辞といたします。

      令和六年 三月 一日

島根県立飯南高等学校 校長 岡 秀樹

校長式辞

飯南町長様、PTA会長様からも祝辞をいただきました。ありがとうございました。

 

【在校生代表送辞】では、生徒会長の和久利昊生さんが、

コロナ禍の制限が取り払われた今年度、コロナ前に戻すのではなく、より進化した新しい飯南高校を築こうとする3年生の強く前向きな気持ちや姿勢に憧れたエピソードを話し、今後は自分たちが下級生を導いていけるよう努力していきたいと、決意を語ってくれました。

在校生代表送辞

【卒業生答辞】では、前生徒会長の稲田七星さんが、

コロナ禍でも希望を捨てず、日常や行事を最大限楽しんだ、かけがえのない時間だったと入学してからの二年間を振り返りました。そして制限が緩和され、新しいことに挑戦できる喜びを感じた最後の一年間。最後までは走り切れたのは、たくさんの支えがあったからこそと、先生方や地域、後輩、家族の皆さんへ、涙ぐみながら感謝の気持ちを伝える姿はとても心温まるものでした。

卒業生答辞

そして最後は4年ぶりの「校歌斉唱」でした。後方からは在校生が卒業生に向けて、卒業生は高校最後の校歌をしっかりと歌い上げていました。


式後のホームルームでは、担任から卒業証書が渡され、卒業生からは高校生活を振り返って感じていること、将来の抱負、担任やクラスメイト、保護者への感謝の気持ちなどを一人ひとりが伝えていました。笑いも涙も入り混じりながら、でもやっぱり最後はみんな笑顔になるすてきなホームルームでした。

HR

美術クラブのメンバーが前日に黒板アートで卒業生への贈り物を描いていて、ホームルームを彩ってくれていました。

黒板アート

卒業生の皆さんが、新しい世界で大鵬となり羽ばたいていってくれることを期待しています。

卒業おめでとうございます!