卒業する皆さんへ

~平成28年度卒業証書授与式校長式辞より~

 

雪解け水が土を潤し、寒さに耐えてきた草の芽が、春を象徴するかのように息づき始めています。

ただ今、卒業証書を授与しました77名の生徒の皆さん、卒業おめでとうございます。皆さんの卒業に際し、一言はなむけの言葉を贈りたいと思います。

 

この3年間、飯南高校には大きな変化がありました。ひとつは、環境の変化です。その変化とは、グラウンド看板「吹け 飯南の風」の刷新、新しい月根尾寮の竣工や増築、テニスコート、ハンドボールコートの復旧整備、体育館のリフレッシュ工事、ICT設備の導入など多くの環境整備があったことです。

 

もうひとつは、生徒数に関する変化です。皆さんは、本校創立以来初めて、町外出身者数が町内出身数を上まわった学年です。また、この年から町内生と町外生がほぼ半数ずつになり全校生徒も約200名になりました。入学生が80名以上となったのも、昭和55年以来、34年ぶりのことでした。

 

これらの変化に関しては、当初、心配なこともありました。それは、私たちが飯南DNAと呼んでいる「きめ細やかで温もりのある雰囲気」を保つことができるか、そして刺激し合うことによって新たな活力が本当に生まれるのかということでした。

 

皆さんは、この心配を吹き飛ばすかのように共に学び合い、活力ある学園生活を作り出してくれました。この3年間の部活動では、県総体で男子総合優勝、女子2位、ハンドボール部やスキー部、自転車競技のインターハイ出場もありました。野球部の全国高校野球選手権大会島根大会でのベスト8も学校を盛り上げてくれました。文化系では、報道部が全国大会上位入賞、吹奏楽部は2年連続で中国大会銀賞の栄誉を勝ち取りました。

 

学業においての努力は、進路の実績に表れました。就職に関しては、多数の公務員合格、地元企業や難関企業への合格があります。また、進学においては、大学入学予定者数や国公立大学の合格者数も過去最高となる勢いです。

 

「生命地域学」と呼ぶ本校のキャリア教育でも発展がみられました。その課題研究で、ある班は、地域の特産であるパプリカの認識が広まっていないこと鑑み、パプリカをスイーツに加工するという斬新な発想を発展させ、販売までこぎ着けました。町の1次2次3次産業を結びつけるという着眼点は、今後の課題研究の新しい視点を提供してくれたと思います。

 

「生命地域学」で身につけたい3つの力「グローカルな視野」「地域に貢献しようとする意欲」「高い発信力」は、偶然にも、54年前に誕生した本校の校歌の内容に深く結びついてます。校歌の第1番「大いなる国造りの正力育て鍛えん」はローカルな視野と地域に貢献しようとする意欲に関係し、第2番「紛争の時流を超えて世界蔽う平和築かん」はグローバルな視野に、第3番「たぎる血の溢るる」は高い発信力に関係しています。飯南高校の揺るぎのない学びの核は、約50年後の「生命地域学」に受け継がれています。皆さんには、高校生活で身につけたこれらの視野や力を社会の課題解決のためにさらに高めてほしいと思います。

 

社会には課題がそこかしこにあります。地域に目を向ければ、人口減少という大きな課題があります。しかし、それに立ち向かう元気な市町村、そして若者も出始めています。飯南町もそのひとつです。世界に目を向ければ、難民・移民、領土、環境などの問題、貧困格差など挙げればきりがありません。

 

どんな課題でも諦めることなく、理想の姿を思い描き、現実と理想のギャップを冷静にとらえ、解決策を探り実行してほしいと思います。それが、世界に、社会に、自分に、幸せをもたらします。

 

ポジティブに生きよう。ポジティブに生きるとは、課題をチャンスととらえることです。チャンスは降ってくるのではなく、チャンスは意識するものです。困難の中にこそ、チャンスがあります。そして、チャレンジしてください。

 

一方で、チャレンジする君たちには、育ったふるさと、あるいは学びのふるさと「飯南」があります。いつでも戻ってきてほしいと思います。しっかりした足場をもとに、世界であるいはここ飯南で羽ばたいてほしいと思います。

 

「チャンス、チャレンジ、チェンジ」

 

この3つのCを心にとめて、新しい世界に踏み出してください。

卒業生の皆さんの前途を祝し、ご活躍を祈念して、式辞といたします。ご卒業、本当におめでとうございます。

 

平成29年3月1日

島根県立飯南高等学校
校長 吉 田 彰 二


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